歯を失った方への治療

歯を失っても放置せずに、ご自身に合った適切な処置を行いましょう

歯を失った方へ

むし歯や外傷などで歯を失ってしまった場合、そのまま放置せず、適切な治療を受けることが大切です。歯の欠損を放置すると、お口の中のバランスが崩れ、様々な問題が生じる可能性があります。
確かに、治療には通院や費用、時間が必要になりますが、長期的な口腔の健康を維持するためには欠かせない投資と言えます。お口の健康は全身の健康にも大きな影響を及ぼすため、一本の歯の喪失も軽視せず、適切に対処することが重要です。

歯を失ったままにするリスク

機能面

  • 対合歯(失った歯と噛み合っていた歯)が伸びてきてしまう
  • 隣接歯(失った歯の両隣の歯)が欠損部に倒れ込んでくる
  • 歯の位置が変化し、不正咬合となり、顎関節症状を引き起こす

審美面

  • 歯の欠損部が目立ち、口元の印象が悪くなる
  • 歯の喪失により歯槽骨が吸収されて、歯肉の位置が下がる
  • 歯肉の退縮により、顔の輪郭が変化し、老けて見える

生活面

  • 咀嚼機能の低下により、十分に噛み砕けず、消化不良を起こす
  • 栄養バランスが崩れ、肥満や生活習慣病のリスクが高まる
  • 発音の不明瞭化により、コミュニケーション能力が低下する
  • 心理的ストレスや自信の喪失により、社会活動が制限される

歯を失ったときの主な治療法の比較

入れ歯 ブリッジ インプラント
適用条件 歯根がなくなった場合、適用 両隣の歯が残っている場合、適用 とくに条件なく、適用可能
費用 〇(保険適用素材もあり、比較的安価) 〇(保険適用素材もあり、比較的安価) ×(保険適用外であり、全額自己負担)
治療期間 〇(短期間) 〇(短期間) △(3ヶ月~1年半)
違和感 ×(異物感があり、違和感を感じやすい) 〇(なし) 〇(なし)
審美性 ×(素材によって目立つことがある) ×(素材によって目立つことがある) 〇(天然歯と同等の審美性)
他の歯への影響 ×(バネをかける場合、他の歯に負担がある) ×(健康な両隣の歯を削る) 〇(なし)
咬むときの力 △(素材によって注意する必要がある) △(素材によって注意する必要がある) 〇(天然歯と同等の咬む力)
グラつき ×(生じやすい) 〇(なし) 〇(なし)

入れ歯

入れ歯治療を通して、ご高齢の方の健康を守ってい行きたいと考えています

平均寿命が延び、健康寿命(元気に自分の生活が楽しめる寿命)も長くなって、元気な高齢者が増えた昨今、入れ歯はメガネやペースメーカーのような一生の道具になりました。

しかし、「入れ歯なんてみんな同じ」「ガタガタして当たり前」だと思い込んで、調子が悪いのをがまんしてしまっている方もいらっしゃいます。当院では、「歯は最初の消化器官です」という全身的な視野で、ご高齢の方の健康をお守りしたいと考えています。

患者さんにフィットした入れ歯を
作製します

当院では顎の形や噛む力、固定できる部位の大きさ、口のまわりの筋肉の様子など、患者さんのお口の状態をしっかり検査し、お一人おひとりにフィットした入れ歯を作製しております。

技工所の得意分野に応じて依頼先を選定しています

当院は6つの技工所と常にやり取りしており、技工所の得意分野に応じて、技工物作製の依頼先を適宜選定しています。「入れ歯作製ならその作製が得意な技工所」「インプラントならその経験が豊富な技工所」と技工物によって使い分けをしているので、精度の高いものを患者さんにご提供することができます。

保険と自費の入れ歯の違い

入れ歯には、保険診療の入れ歯と自費診療の入れ歯があります。保険診療の入れ歯は、安価であることからどなたでも使い始めやすいですが、一方で機能性や審美性に優れてはおらず、違和感を感じることが多いです。自費診療の入れ歯は、機能性。審美性に優れ、入れ歯の種類の選択肢も多いですが、種類によってはかなり高額になってしまいます。

保険診療 自費診療
装着時の違和感 違和感がある 違和感が少ない
密着度 外れやすい 外れにくい
部分入れ歯の場合 金属のバネガ目立つ 金属の金具がない、あるいは目立たない
総入れ歯の場合 素材が限定されるため少し不自然 歯や歯茎の色が自然
発音 発音に支障が出ることがある 発音の支障が少ない
耐久性 経年により変形やガタつきが出やすく、定期的な調整が必要 使う入れ歯の種類や個人差によるが、長く使用できる
費用 安価 種類によるが、高額になることが多い

当院で扱う入れ歯

保険の入れ歯

歯肉に触れる部分がプラスチックで作られている保険診療の入れ歯です。幅広い症例に対応していて、リーズナブルかつ壊れた際にも修理が容易です。しかし、ある程度の厚みが必要なので装着時に違和感を覚えたり、熱が伝わりにくかったりします。

ノンクラスプデンチャー

ノンクラスプデンチャーは、バネ部分が金属ではなく、歯ぐきの色に近い歯科用の樹脂で作られている入れ歯です。従来の入れ歯のようにバネが目立たないので、装着しても見た目が自然です。また、金属を一切使用しないことから、金属アレルギーをお持ちの患者さんでも、安心してご利用いただけます。

Merit

  • 金属を使用しないため、金属アレルギーの心配がない。
  • 薄く作製することで、使用時の違和感を減らす効果が期待できる。

Demerit

  • 自費診療のため、保険が適用できない。
  • 特殊な素材で作製するので、破損した際、次の装置が出来上がるまでお時間をいただく場合がある。
  • 装置を固定するため、引っ掛ける歯がない方はご使用いただけない。
治療期間/回数
3週間~1ヶ月/3~4回
費用
49,500~198,000円(税込)

金属床

金属床義歯とは、歯ぐきなどの粘膜に触れる床部分が金属で作られている入れ歯です。金属なのでレジンに比べて強度があり、長期間の使用でも壊れにくい傾向があります。また、食べ物や飲み物の温度が伝わりやすいのも好評です。

Merit

  • 保険診療のプラスチック(レジン)より頑丈で、薄く加工できる。
  • 金属を土台に使うため、頑丈な義歯を作製でき、しっかり噛める。
  • 金属から熱が伝わり、患者さんが味覚を感じやすくなることで、より食事を楽しめるようになる。

Demerit

  • 自費診療のため、保険が適用できない。
  • 金属アレルギーをお持ちの患者さんは使用できない可能性がある。
  • 素材に重みがあるため、金属床を装着した際に違和感を覚える場合がある。
治療期間/回数
1~2ヶ月/3~6回
費用
385,000~440,000円(税込)

インプラントオーバーデンチャー

インプラントオーバーデンチャーは、残存歯やインプラントを利用して入れ歯を支える治療法です。見た目は総入れ歯と似ていますが、粘膜ではなく歯やインプラントで咬合力を支えるため、より安定性が高く、強い噛む力が得られるのが特徴です。

Merit

  • 歯やインプラントで固定するため、入れ歯のズレや外れが少ない。
  • 粘膜で固定するの入れ歯と比べ、高い咬合力が得られる。
  • バネを使用しないため、見た目が自然で美しい。
  • 入れ歯を取り外して清掃ができるため、衛生的である。

Demerit

  • 自費診療のため、保険が適用できない。
  • 通常のインプラントと比較すると、咬合力がやや劣る。
  • 残存歯の状態によっては適用が難しい場合がある。
治療期間/回数
半年~1年/8~12回
費用
935,000~1,485,000円(税込)

入れ歯治療へのこだわり

生活を楽しむための道具でもある

当院では、入れ歯の大切さについて、食事の問題だけでなく生活を楽しむ道具として捉えて、こだわって作製しております。入れ歯は口元の表情、発音などにも大きく影響します。健康だけでなく、生活を楽しむための道具でもあるのです。

ですから、ぜひ一度、入れ歯の品質を見直してみてください。入れ歯についてお悩みがあれば、少しでも改善できるように、当院ではできる限りの工夫と努力をいたします。ぜひお気軽にご相談ください。

ご家族の方の「噛む行為」を見直す

ご高齢のご両親や身近な方の「噛む行為」について、今一度、見直してみませんか?入れ歯がフィットしているかどうかは、お使いのご本人しかわからないと思うかもしれませんが、周囲の人も意外に気づくことができるものです。

例えば、話しているときに唾液が飛んだり、口元に唾液が溜まっていたり、イカやレタスなどをうまく噛み切れなかったり。このような場合には、装着したときに入れ歯がズレていたり、長い間に噛み合わせが変わって噛みにくくなっていたりします。

噛む力を強くして、イキイキと過ごす

「噛める」ということは、生きていくうえでの基本です。入れ歯の調子が良くなるだけで、ご高齢の方もイキイキしてきます。もし、ご本人が来院を渋るようでしたら「歯周病の検査を兼ねて」など、病気の予防も併せてご提案してみてください。健康な体は、「噛む」という行為が支えていることをどうか忘れないでください。

入れ歯を長持ちさせるためには、定期的なメインテナンスが重要です

入れ歯は装着当初は良好な適合状態でも、時間の経過とともに様々な問題が生じることがあります。例えば、「入れ歯が歯茎に当たって痛みを感じるようになる」「入れ歯が外れやすくなる、または外れにくくなる」「入れ歯自体の磨耗により、適合状態が悪化する」「入れ歯との間に隙間ができる」などです。
これらの問題を放置すると、入れ歯の使用感が低下するだけでなく、残っている歯への悪影響も懸念されます。
そこで定期的な歯科検診とメインテナンスにより、入れ歯の不具合を早期に発見し、適切に対処することが大切です。歯科医師による入れ歯の調整を行うことで、長期にわたって快適に入れ歯を使用できます。

ブリッジ

抜いた歯の両隣の歯を活用し、人工の歯を装着することで補綴する治療です

ブリッジ治療は、歯を失った際の補綴方法の一つです。歯のない箇所の両隣にある健康な歯を土台にして、それらを繋ぐように人工の歯を装着します。橋を架けるように見えることから、「ブリッジ」と呼ばれています。

ただし、ブリッジ治療には注意点があります。土台となる歯が必要なため、連続して多くの歯を失っている場合や、隣接する歯が弱っている場合には適用できないことがあります。また、保険適用の有無は、失った歯の本数や治療部位によって異なります。

インプラント

顎の骨に歯根を埋めてしっかりと固定するため、安定感があり、審美的にも優れています

インプラントとは、歯を失った箇所の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、歯の機能を補う治療法です。

埋め込んだインプラント体と骨は結合しているため、安定感のある噛み心地を実現します。被せ物も天然歯に近く、外から見ても違和感がほとんどありません。